ピアサポーターせんず(コラム)
「その時は突然に」
メンタルクライシスを経て、デイケアに通い始め、WRAPに出会い、りぐらっぷ高知に所属させてもらい、たくさんの人たちとの繋りができ、自宅以外に「居場所」と言える大切な場所や人ができた。
そんな時、りぐらっぷ高知の忘年会が開催されるという。
迷った。
絶対に楽しい、楽しそう。もっとこの人たちと話をしたい。
でも、また食べなかったら「おかしい」と言われてしまうかもしれない。
そんな不安を心理士に相談すると
「無理に行くことないと思うよ。極論、外食って絶対にできないかんことではないし、せんずさんがしんどい思いして克服しなきゃいかんことでは…」
「Kさん、私、外食できるようになりたいんです。みんなとおしゃべりもしたいし、おしゃれなお店行って、美味しいもんいっぱい食べたいんです。マジで美味しいもん食べたいのです(大事なことなので以下略)」
「そっか、すまぬ」
ということで、行ってみてダメなら帰ろう。
それにりぐらっぷ高知のみんなは、食べれない私を「おかしい人」というラベリングはしない。
食べれないからといって過剰な心配はしないし、苛立ちや困惑することもないと信じられる。
でも、一応幹事には
「食べれないかもしれない。しんどくなったら早めに帰宅するかも。でも会費はきちんと払います。食べれなくても心配したりしないで大丈夫です」と伝えた。
快くOKしてくれた。
そして迎えた忘年会。
結論から言うと、めちゃ食べれた!
何年ぶりに他人の前の食べれただろう。
食べても吐き気がしない、身体がこわばらない、しんどくならない!
料理の味がする!美味しい!
ふと周りを見ると、みんな私のことなんて気にしてない。
思い思いに食事を楽しみ、お酒を嗜み、会話に花を咲かす。
私に話題を振ってくれ、コロコロと笑ってくれる。
私の「食べる」ことになんて、興味ない。
食べてようが、食べてなかろうが、そんなことで私に対しての価値判断なんかしない。
そのことが嬉しくて嬉しくて、料理も残さず食べれて、最後にはかけそばを食べきることもできた。
幹事に改めてお礼を言い、食べれたこと、とても楽しかったこと、こんなに安心して食べれたことは久しぶりだということを伝えたら、涙があふれてしまった。
ポンポンと優しくハグしてもらい、周りの人も口々に「良かったね」と言ってもらえて、受け入れてもらったことがこんなにも幸せなのかとフワフワした感覚に包まれた。
帰宅後、母に食べれたことを伝えるとすごく喜んでくれた。
会食恐怖症克服への第一歩である。
まだ一対一での対面は難しいし、りぐらっぷ高知の忘年会以外では外食できていないけれど、少しずつ自分のペースで進んでいこう。
そして、今年の忘年会では去年以上に沢山食べれて、沢山話せて、沢山の幸せのおすそわけをもらいました。
楽しかった。ご飯も美味しい。自分はおかしくなんかない。
カフェでランチもしたいし、美味しいスイーツも食べに行きたい。
焼き鳥やラーメン、中華、イタリアンも食べに行きたい。
沢山の“希望の感覚”が新たに芽生えた日でした。
私の大きなきっかけは父の言葉でしたが、異性からの「食べないと見てるこっちが気分悪い。せっかくの楽しい気分が台無し」という言葉。
他人に相談した時の悪意のない「気の持ちよう!たいしたことないよ!」「え?!会食楽しいのに、なにがそんなにしんどいの?」「持ち帰ったり、自宅では食べれるのになんで?」という言葉にメタメタに刺されてきました。
しんどい思いを誰かに打ち明けた時「たいしたことない」と一蹴されることほど相手に絶望感を与える行為は他にないと思っている。
誰かに「しんどい思いを打ち明けられた時」、まずは「しんどいのにはなしてくれてありがとう。しんどかったね」と受け入れられる人間でありたい。
他人のしんどさを「自分の主観のみでジャッジ」はしないようにしていきたい。
(おしまい)
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